NANASAI ARCHIVES “彩 sai”第1回企画展
「装苑賞をまとうマネキン達」へ

テーマ:ブログ

2019-06-29 00:00:00

先日、大阪に行く機会があり、マネキンや什器の製造・レンタル、ディスプレイ、商業空間の演出などを手掛ける「七彩」のミュージアム、「NANASAI ARCHIVES 彩」を訪れ、「装苑賞をまとうマネキン達」を観てきました。
装苑賞とは、1957年に始まり、今も続くファッションデザインのコンテスト。
服飾専門学校の学生や卒業後間もない若者が多く応募することから、ファッションテザイナーへの登竜門として知られています。
歴代の受賞者にはコシノジュンコ、高田賢三、山本耀司、山本寛斎など、のちにデザイナーとして一代を築いた錚々たる名前が連なります。
同展は、第1回の受賞作である佐藤昌彦さんの作品に始まり、1966年第20回受賞作の横川勝典さんの作品までを展示。
それぞれの作品が発表された時代のマネキンに着せられるという大変興味深い展示でした。
写真ではなかなか分かりにくいですが、50年代・60年代のマネキンは今より少し小柄。
メイクも当時の流行を反映しているため、より作品が生まれた時代背景を感じることができます。
一つ一つの作品にマネキンの制作者と興味深いコメントが添えられていましたので、それらも参考にしながら紹介しましょう。

1957年 第1回 佐藤昌彦(25歳学生) *マネキン 1955年 村井次郎
このマネキンは2011年10月〜2012年3月に放映された、NHK連続テレビ小説「カーネーション」の主人公・小篠綾子さんの営むオハラ洋装店のウィンドゥに飾られ、ドラマの演出に一役買いました。
1960年 第7回 小篠順子(19歳学生) *マネキン1963年 大森達郎
「JUNKO KOSHINO」のデザイナーである小篠順子さんが弱冠19歳で受賞した作品。審査員だった森英恵さんは「ボタンの配置といい、帽子の上部にのびたシルエットといい、若い人の生意気さがよく表現されています。」と選評しています。
1960年 第8回 高田賢三(21歳学生) *マネキン1962年 清水凱子
単身パリへ渡って大旋風を巻き起こした「KENZO」のデザイナー、高田賢三さんも文化服装学院の学生時代に受賞。このマネキンを制作した清水凱子さんは、日本初の女性マネキン作家で、このマネキンが処女作で大ヒットとなり、その後30年にわたり活躍されました。
1966年 第20回 横川勝典(21歳研究生) *マネキン1974年 欠田誠
第20回は候補者全員が男性に。審査員の森岩謙一さんは「袖下のくりが深いためにブラジャーを作りつけにするなど、下着には特別の注意を払わなくてはならない」と選評。このようなコメントにも時代が表れています。
会場には特別展示として1970年代の「KENZO」のコレクションが並んでいました。
七彩さんのご好意で、大変貴重な物も見せていただきました。
これは1925年(大正14年)に発表された国産第1号の洋マネキンである姉妹像です。
こうして見ると、ファッションやメイクアップの歴史はマネキンの歴史である事がよくわかります。
同展は予約すれば誰でも拝観可能。
なかなか目にすることがない貴重な作品とマネキンに会いに行ってみてはいかがですか?
予約などの詳細はこちら→https://www.nanasai.co.jp/news/2019/04151.html

〈 会期 〉
前期:2019年4月8日(月)~9月13日(金)
後期:2019年10月1日(火)~2020年2月28日(金)
*前期と後期で作品が入れ替わります。
〈 会場 〉
NANASAI ARCHIVES 彩
大阪市淀川区西宮原1-7-51 ワコール大阪ビル3F
〈 開館時間 〉 平日 午前10時~午後5時
*土日祝日は閉館しています。